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外貨預金とは
最近では外貨預金は高金利で定期預金に預けておくよりお得だとよく宣伝されています。
確かに金利だけ見ると非常に高いのですが、そこには落とし穴がありました。損をしないためによく知っておく必要があります。
外貨預金とは
外貨預金とはその名の通り外国の通貨で預金するということです。
円で預けたお金を外国の通貨に換算するので、外国の通貨を持っていなくても利用できます。
また、引き出すときは外貨から円に戻して受け取ります。
どのくらいのレートで換算されるかはその日のTTS、TTBによって決まります。
取引レート
通貨ごとに毎日更新される売値と買値です。
円から外貨に換算されるレートをTTS、外貨から円に戻すレートをTTBといいます。
例えば三菱UFJ銀行の2018年4月3日のレートを見てみると
通貨 |
TTS |
TTB |
---|---|---|
米ドル | 106.42円 |
105.92円 |
ユーロ | 131.10円 |
130.60円 |
豪ドル | 82.22円 |
81.22円 |
英ポンド | 149.98円 |
148.98円 |
NZドル | 77.48円 |
76.48円 |
スイスフラン | 111.82円 |
110.82円 |
米ドルの預金を100万円分利用する場合、上表のTTSを使うと100万円÷106.42円=9,396ドル預けられるというわけですね。(別途手数料あり)
引き出す時は9,396ドルをその日のTTBで円に換算します。(別途手数料あり)
手数料については後述します。
金利が高い
外貨預金は非常に金利が高いです。円の定期預金なんて比較になりません。
例えば三菱東京UFJ銀行の2018年4月3日の金利を見てみると
通貨 |
普通預金 |
1年定期 |
---|---|---|
米ドル | 0.200% |
0.960% |
ユーロ | 0.001% |
0.001% |
豪ドル | 0.300% |
0.300% |
英ポンド | 0.100% |
0.100% |
NZドル | 0.300% |
0.440% |
スイスフラン | 0.001% |
0.001% |
特に豪ドルは0.3%と円と比べても30倍の差があります。
為替差益が出る可能性がある
外国の通貨で預金している間も円と外国の通貨のレートは日々変化していきます。
100万円預け入れる時に1ドル100円だったら1万ドル預けられます。
その1万ドルを引き出す時に1ドル120円だったら戻ってくるお金は120万円になっているのです。
円安になっていれば大きくお金を増やすことができそうです。
外貨預金のデメリット
いいことだらけのように見える外貨預金ですが、当然デメリットがあります。
外貨「預金」という名前が付いていることから、預けているお金は減らないと思っている人もいるかもしれませんが、外貨預金は元本割れの可能性がある商品です。
元本割れとはなにか?預けた金額よりお金が減ってしまうということです。
金利も高いのになぜそんな事が起きてしまうのでしょうか?
為替差損が出る可能性がある
先程、円安の場合においては為替差益が発生し儲けることができると紹介しましたが、もちろんその逆もあるわけです。
100万円預け入れる時に1ドル100円だったら1万ドル預けられます。
その1万ドルを引き出す時に1ドル90円だったら戻ってくるお金は90万円になっているのです。
円高になっていれば大きくお金を減らす可能性もあるわけです。
また、TTSとTTBには差があります。TTBの方が低くなっていますね。
つまり預入時と引き出し時が同じレートだった場合は必然的に為替差損が発生します。
手数料が高い
実は外貨預金は1通貨あたりの手数料が決められており、米ドルは1円、豪ドルは2円などの手数料が預入時と引き出し時にかかります。
1通貨あたりなのでTTSおよびTTBに手数料を足します。
これらのせいで、いくら金利が高くても金利分なんてすぐに吹き飛んでしまうのです。
ただ、窓口では1円の手数料でも、ネットバンキングなら25銭で済むという場合もあるので、もし利用する場合はネットバンキングの方が良いでしょう。
実際に1年前のレートを用いて計算してみましょう。
外貨預金の例(窓口)
- 通貨:米ドル
- 金利:0.5%(1年)
- 預入金額:100万円
- 預入:2016年4月21日(TTS110.73 TTB108.73)
- 引出:2017年4月21日(TTS110.31 TTB108.31)
- 手数料:1円
元本100万円÷(110.73円+1円)=8,950.15ドル
利息の計算8,950.15ドル×0.5%=44.75ドル
利息の税金44.75ドル×20.315%=9.09ドル
税引き後8,950.15ドル+44.75ドル-9.09ドル=8,985.81ドル
引出し8,985.81ドル×(108.31円-1円)=964,267円
元本より35,733円も減ってしまいました。
利回りの計算するとマイナス3.57%となります。
外貨預金の例(ネットバンキング)
- 通貨:米ドル
- 金利:0.5%(1年)
- 預入金額:100万円
- 預入:2016年4月21日(TTS110.73 TTB108.73)
- 引出:2017年4月21日(TTS110.31 TTB108.31)
- 手数料:25銭
元本100万円÷(110.73円+0.25円)=9,010.63ドル
利息の計算9,010.63ドル×0.5%=45.05ドル
利息の税金45.05ドル×20.315%=9.15ドル
税引き後9,010.63ドル+45.05ドル-9.15ドル=9,046.53ドル
引出し9,046.53ドル×(108.31円-0.25円)=977,568円
元本より22,432円も減ってしまいました。
利回りの計算するとマイナス2.24%となります。
どちらにしても減ってしまいましたね。これは預けたときよりも円高になってしまったことが原因です。
金利だけではカバーしきれないですね。
預金保護の対象ではない
円預金の場合、万が一銀行が破綻しても預金保護制度により1000万円までの元本とその利息が帰ってきます。
しかし、外貨預金は預金保護の対象外なので外貨預金に預けていた分は最悪の場合1円も戻ってきません。
ネット銀行を使った場合
外貨預金をやる場合、メガバンクや地方銀行よりもネット銀行を使ったほうがお得です。
ネット銀行は普通の銀行よりも金利・手数料の面で優遇される場合が多いからです。
為替レート
メガバンクとネット銀行の米ドルレートを比較してみましょう。
銀行 |
TTS |
TTB |
差 |
---|---|---|---|
メガバンク | 106.42円 |
105.92円 |
0.5円 |
住信SBIネット銀行 | 106.25円 |
106.17円 |
0.08円 |
ソニー銀行 | 106.32円 |
106.02円 |
0.3円 |
ジャパンネット銀行 | 106.257円 |
106.126円 |
0.131円 |
ネット銀行の方が買値と売値の幅は小さいです。同じ値動きでもこの幅が小さければ利益は大きく、損失は小さくなりやすくなります。
金利が高い
メガバンクとネット銀行の米ドルの金利(1年定期)を比較してみましょう。
銀行 |
米ドル |
豪ドル |
南アランド |
---|---|---|---|
メガバンク | 0.500% |
0.600% |
- |
住信SBIネット銀行 | 1.900% |
2.000% |
6.200% |
ソニー銀行 | 2.000% |
1.700% |
6.000% |
ジャパンネット銀行 | 1.300% |
1.000% |
- |
メガバンクの2〜3倍の金利があります。
手数料
メガバンクとネット銀行の米ドルの手数料を比較してみましょう。
銀行 |
預入 |
引出 |
---|---|---|
メガバンク | 25銭 |
25銭 |
住信SBIネット銀行 | 2銭 |
2銭 |
ソニー銀行 | 15銭 |
15銭 |
ジャパンネット銀行 | 5銭 |
5銭 |
以上から、同時期にネット銀行で外貨預金をしていた場合にどうなるかを計算すると
外貨預金の例(ジャパンネット銀行)
- 通貨:米ドル
- 金利:1.0%(1年)
- 預入金額:100万円
- 預入:2016年4月21日(TTS110.73 TTB110.53)
- 引出:2017年4月21日(TTS110.31 TTB110.11)
- 手数料:5銭
元本100万円÷(110.73円+0.05円)=9,026.90ドル
利息の計算9,026.90ドル×1.0%=90.27ドル
利息の税金90.27ドル×20.315%=18.34ドル
税引き後9,026.90ドル+90.27ドル-18.34ドル=9,098.83ドル
引出し9,098.83ドル×(110.31円-0.05円)=1,001,435円
元本より1,435円増えました。
利回りの計算すると+0.14%となります。
同じ期間、同じ金額を預けていましたがメガバンクでは元本割れしていたのに対し、ジャパンネット銀行に預けていた場合は増えました。
このことから、外貨預金を行う場合はネット銀行を使ったほうが良いという事がわかります。
しかし、今回はこのような結果になりましたが結局為替レートの上下に左右されるので、数年前に起きたような超円高になった場合とんでもない損害を受ける恐れがあります。
できることなら外貨預金にはあまり手を出さない方がいいかもしれませんね。
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